Steam等で海外インディーゲーを多く遊ぶPCゲーマーの間ではもはや常識とも言える翻訳ツール、「PCOT」の紹介です。
こんなサイトを作っているのに筆者は中国語スキルがありません。UIやスキル説明は同じものを何度も目にするのでそのうち嫌でも覚えてしまいますが、シナリオパートの会話は全然分からず本来であればお手上げでした。そこで頼りになるのがこのPCOTです。
PCOTですぐにできること
・ドラッグでゲーム画面を範囲指定して自動で翻訳表示
・ホットキーでスクリーンショット保存
・スクリーンショットも範囲指定して翻訳
準備編
①ダウンロード
ツール作者のサイトからDLします。
無料で公開している作者に感謝しながらダウンロード完了を待ちますが多分一瞬で終わります。
②解凍・起動
適当なディレクトリに展開して起動します。
インストールは不要です。
③プロセスを選択
「鈴蘭之剣」をクリックして「選択」。
(プロセスごとに辞書など個別設定を記憶できます)
④繁体字のデータをDLする
デフォルトだと英語しか対応していないので繁体字のデータを追加します。
「設定」>「OCR言語設定」>対応言語一覧で「繁体字」を「追加/更新」
データがDLされて繁体字が「利用可能」になればOKです。
※中国語は「簡体字」と「繁体字」があり、台湾で使われるのは繁体字です。
⑤画像読み取りの設定
「設定」>「画像加工OCR読取設定」>OCR読取言語を「中国語(繁体字)」>「保存」
※これをしないとPCOTは対象が英語だと思って読み取りに行くので文字化けします。
⑥(任意)DeepLの併用
Google翻訳だけでなくDeepLを併用して翻訳内容を比較することができます。
先にDeepLのデスクトップ版をインストールしてください。
その後PCOTを起動したら「外部翻訳アプリと連携」>「DeepLと連携」にチェックすれば準備完了です。
実践編
①「鈴蘭の剣」とPCOTを起動する
ゲームとPCOTを起動し、「プロセス」で「鈴蘭之剣」を選択します。
起動する順序は問いませんし、ゲームを再起動してもプロセスを選び直せば大丈夫です。
②「フリー選択」で使う
GUIで「フリー選択」を選ぶか、ショートカット(デフォルトではCtrl+Shift+F)を押すとゲーム画面が暗くなります。
③翻訳範囲を指定する
暗転した状態で、翻訳したい部分をドラッグして囲みましょう。
自動的に翻訳結果が表示されます(画像はDeepLも併用)。
ページ全体など広い範囲を指定するとうまく読み取れなかったり時間がかかったりします。
また画像を含めてしまうとその画像も文字だと思って頑張って翻訳しようとしてしまうので、なるべく文章だけを上手に囲うのがコツです。
④翻訳の修正
読み取りがうまくできない場合は手入力で原文を修正して「再翻訳」することができます。
基本的に「改行を無視」にチェックを入れ、手動で改行位置を調整した方がいいでしょう。
・固有名詞の登録
「名詞登録」で対応できる
例えば「法皇國」は「フランス王国」と訳されるので名詞に「法皇国」と登録しておけば正しく変換されます。
・文字化けする
バックの模様や線を範囲に含めるとうまく行かないので文字だけを囲うようにしましょう。
文字が小さい、潰れているなどの場合は自動認識が難しいので手入力で補うことも考慮します。
何度やっても意味不明の文字列しか出てこないなら中国語繁体字を指定してるか確認(英語のままだとダメ)。
フォントのクセで同じ漢字を毎回同じように間違う場合は「辞書登録」で修正できます。
例えば「範圍 」を毎回「範國」と読み取ってしまうような場合は、辞書登録で 置換前:範國 置換後:範圍 と指定します。
この時「範國」ではなく「國」で指定してしまうと國という文字が全て置換されてしまうので注意すること。
⑤スクリーンショット撮影&画像翻訳
デフォルトだと「Ctrl+Shift+P」でスクリーンショットが撮影できます。
ただしこれは非常に使いづらいのでホットキーの変更を推奨。
GUIで「画像翻訳」を押すと保存したスクリーンショットの履歴にアクセスできます。翻訳したい画像が表示されている状態でビューワの「フリー選択」を押すと保存した画像に対してフリー選択から翻訳が可能です。
「鈴蘭の剣」ではあまり多くないのですが自動で画面送りされてしまう場面などで役立つでしょう。
PCOTのあるディレクトリにimageフォルダがあり、スクショはそこに保存されるので普通にスクショツールとしても有用です。
「鈴蘭の剣」に限らずスクリーンショットが取れないゲームクライアントが結構ありますが、個人的にはスクショとミュートのオン/オフくらいは必ずホットキーを設定して欲しいです…。
Steam版が配信されればおそらくF12一発で撮れるはずなのでだいぶ楽になりますね。
応用編
PCOTの応用的な使い方
・会話ウインドウの位置を登録しておきショートカットだけで翻訳する
・読み上げソフトと連携して配信に流せる
・「ゲーム」以外の翻訳にも使える
この記事で紹介したのはほんの基本的な導入だけで、本来PCOTは多機能で自由度が高いツールです。
フリー選択での翻訳に慣れてきたら、ご自身のスタイルにあった利用方法を模索してみてください。
頻繁に使う「フリー選択」と「スクリーンショット」はショートカットを押しやすいものに変更することを強く推奨します。
筆者の設定では「Ctrl+F」と「Ctrl+S」ですが、これはこれで他のアプリのショートカット(検索や保存)と競合するので改善の余地はあります。
意外と盲点に入ってしまう人が多いようですが、プロセスを「鈴蘭の剣」ではなくWebブラウザにすれば台湾の攻略サイトなどにある画像もフリー選択で翻訳できます。
Webブラウザは今どき標準で翻訳機能がついていることも多いですし、DeepLやgoogle翻訳のブラウザ拡張機能を使えば選択したテキストを翻訳してポップアップ表示してくれたりして本文を読む分には苦労しないのですが、画像までは翻訳できないのでここでもPCOTが活躍します。
おわりに
PCOTはちょっと読み取りや翻訳の精度がいまいちに感じることも多いですが、概要を理解するには十分すぎる性能です。無料でここまで使わせてくれる作者さんには感謝しかありません。
この記事はあくまで紹介ということで、より詳細な設定や応用的な使い方はご自身で調べてみてください。
アルファベットと異なり中国語の場合は漢字が読めず入力できないので調べようにも調べられないというケースが多発します。鈴蘭で「免疫干擾」という効果が出てきた時、「干擾」をどうやって調べますか?
PCOTなら画面を読み取って文字にしてくれますが、こうしたOCRを使わず翻訳したい場合は手書き入力を使うことになり、単語1つ2つならいいですが文章となると相当しんどいです。
ちなみに干擾は「妨害」や「干渉」の意で、CC系デバフのことですね。免疫は無効なので「免疫干擾」=「CC無効」です。
一旦スクショして画像翻訳にかけるとか、画面をスマホのGoogleレンズで映すという手もありますけど…毎回そんな手間かけるくらいなら最初からPCOTを使ったほうが絶対早くて楽です。
面倒なのは初期設定だけなので、ぜひ使ってみてください。
少しプレイすればUI部分はすぐ覚えてツールを使わずに読めるようになる。ストーリーの会話はさすがに厳しいのでPCOTを使って文意を把握しよう。
類似のツールに「Capture2Text」「Screen Translator」などがあるが、個人的にはPCOTが一番使いやすいと思う。日本人が作ってて日本語で使えるからな。